2019年11月20日「ガッテン!」では、全国屈指の長寿地域として注目の腸内細菌パワーが放送されました。
腸内細菌の善玉菌を増やすにはヨーグルト・・・?
いつまでも健康で長生きするための、腸内細菌のパワーを最大限引き出す食物繊維を紹介します!
腸内フローラの善玉菌を増やすのはヨーグルト?
腸にいいといえばヨーグルト。
しかし、ヨーグルトは食べている間は、おなかの中に菌はいますが、食べるのをやめると、おなかの中からいなくなってしまうそうです。
じゃぁ、意味ないの?とおもうかもしれません。
実は、ヨーグルトの菌は「通過菌」と呼ばれ、もともとおなかの中にいる「常在菌」とは違う性質・働きを持っているといいます。
ヨーグルトの菌が働くのは、腸の中を通過するとき、ですからヨーグルトは無駄ではなく、食べ続けることが大切だといいます。
長寿「京丹後」は大腸がんの罹患率が低い
ガッテンで注目したのは、京都府北部「京丹後」といわれる地域。
古くから健康長寿で知られていて、大腸がんの罹患率(りかんりつ:病気にかかる割合のこと)も低いという特殊な地域だそうです。
何故、健康で長寿の方が多く、大腸がんの罹患率が低いのか?
地域の高齢者の体を徹底的に調べることで、見えてきた一つの可能性が、特別な「腸内細菌」の存在だといいます。
「京丹後」地域の人たちの多くは、体内の炎症を抑える良い働きをしてくれる、ある“善玉菌”が多いことがわかってきました。
京丹後で好んで食べられていた物とは?
京丹後の方々への食生活アンケートでは、水溶性食物繊維を含む食品を多くとっていることが明らかになったそうです。
実際に、地域の皆さんの多くは、大麦ごはんや玄米などの全粒穀物をよく食べていました。
また、京丹後市の郷土料理を調べたところ、ひじきやワカメなどの海藻類といった食物繊維を豊富に含む食品を、多く摂取してることが分かっています。
水溶性食物繊維が不足している日本人
京丹後市と比較すると、一般的な日本人の食物繊維の平均摂取量は14.6g。
国が定める目標値は21gですが、(成人男性)と18g(成人女性)で、5gほど足りていないといいます。
一日にプラス5gの食物繊維、そのうち1.5gの水溶性食物繊維をとることを意識して欲しいといいます。
もしかしたら、あなたも食物繊維が不足しているのではないでしょうか?
食物繊維で善玉菌を増やす方法!
京丹後市の皆さんの腸を調べて、食物繊維を豊富に含む食品を多く摂取してることが分かりました。
そして、その中でも発酵性の高い食物繊維が、腸の善玉菌を増やし免疫力アップにつながることがわかってきました。
京都府の京丹後市は、長寿の高齢者が非常に多いことで有名な地域です。
人口に対する100歳以上の高齢者の割合が全国平均の約3倍で、しかも要介護率も低く、健康な高齢者が多いのです。
ちなみに、116歳54日という男性長寿世界一のギネス記録を持つ、故・木村次郎右衛門さんもこの街で暮らしていました。
そんな京丹後市の高齢者を対象に、我々の研究チームは様々なデータを取り、長寿の研究を行っています。
その中で分かったことは、京丹後市の人達はよく食べてる食品には「発酵性が高い食物繊維」が多く含まれているということです。
そして、高齢者の方々の腸内細菌を調べてみると、クロストリジウム属などの、酪酸を作り出す菌が、目立って多くなっていました。
酪酸というのは、健康のために重要な働きをしてくれることで、現在大きな注目を集める短鎖脂肪酸の一つです。
長寿の秘訣は、この酪酸の働きによるところが大きいのではないかと考えられているのです。
酪酸の働きとしてまず挙げられるのが、腸管内で産生することで、腸の上皮細胞(栄養や水分を吸収し、また粘膜によるバリアを作る)のエネルギーとなり、腸を強化することです。
これにより、腸管壁のバリア機能が高まり、病原菌などの侵入を防ぎやすくなって、病気が起こりにくくなるのです。
逆に、酪酸が不足すると体調が正常に機能しなくなり、腸内環境が悪くなって、便秘なども起こりやすくなります。
もう一つ酪酸の大きな働きは、免疫細胞を活性化し、免疫機能のバランスを調整するということです。
私たちの体には、元々細菌やウイルスなどを排除し、体を守るために備わっている免疫というシステムがあります。
しかし、免疫の反応が過剰に働きすぎると、潰瘍性大腸炎や関節リウマチなどの自己免疫疾患の原因となってしまいます。
こうした病気にならないように過剰な免疫反応を抑えるのもまた免疫の働きの一つであり 、その役割を制御性 T レグ細胞と言う免疫細胞が担っています。
酪酸には、この制御性 T レグ細胞を増やす、免疫のバランスを調整する働きがあることも判明してきています。
その他、腸で酪酸が増えると、血糖値の正常に働く GLP・ 1というホルモンが増えて血糖値が安定したり、脂肪代謝が高まったりしたという試験結果もあります。
また、腸由来の酪酸が、脳機能の老化を進行させる炎症を抑えたという、動物実験の結果も報告されています。
食物繊維が発酵して楽さんが作られる
このような優れた働きをする酪酸を増やす鍵を握っているのが、食物繊維です。
食物繊維というと、「体内で消化吸収されず、体内を素通りする、栄養にならない成分」
「大便のかさを増し、老廃物や有害成分を掃除してくれる成分」と捉えている人も多いかもしれません。
これまでも食物繊維は糖や脂肪の吸収を緩やかにしたり、便通を良くして排出を促したりする作用が知られていました。
加えて、もう一つ重要な働きが腸内の酪酸菌によって発行され、酪酸を作り出す材料となるということです。
以前から、食物繊維に関しては、水溶性と不溶性という区分がされていました。
海藻に含まれるアルギン酸、りんごや桃などの貨物に含まれるペクチンなどの水溶性植物繊維は、水に溶けてゲル状になり、余分な糖や脂肪を包み込む働きを持ちます。
一方、植物の細胞壁にあるセルロースなどの不溶性食物繊維は、腸内で水分を吸収して膨らみ 、蠕動運動を促す働きがあります。
それに対し、酪酸が注目されるようになってからは、酪酸への変わりやすさ、つまり、「発酵しやすい食物繊維かどうか」ということが重要視されるようになってきました。
全体的に不溶性よりも水溶性の食物繊維の方が発酵性が高く、酪酸が作られやすいのですが、寒天やオオバコ種皮(サイリウム)、ポリデキストロースなどは、ほとんど発酵されないといわれています。
高発酵性の食物繊維と、それを含む一般的な食品としては、
アラビノキシラン:全粒穀物(全粒小麦、玄米など)
水溶性大豆食物繊維:蒸し大豆、きなこ
β-グルカン:大麦(押し麦)オーツ麦(オートミール)、きのこ
レジスタントスターチ:おにぎりやポテトサラダなどの冷されたでんぷん
などが挙げられます。
このような食物繊維たっぷりの食生活が、酪酸菌を活性させて酪酸の産生を増やし、体の免疫を高めたり血糖値を安定させて動脈硬化を防いだりといった相乗効果で、長寿に導いているのだと考えられます。
我々が、京丹後市の高齢者に対して行なったアンケート調査においても、インフルエンザにかかったり、肺炎で入院したりしたことがあると回答した人は、わずか1.6%しかいませんでした。
安心2021年5月号:京都府立医科大学附属病院内視鏡・超音波診療部部長、腸内細菌を研究し続けている腸のスペシャリスト・内藤雄士 談話~
高発酵性食物繊維を多く含む食品
・海藻
・大麦など全粒穀物
・根菜類
・豆類
・イモ類
・キノコ類
水溶性食物繊維を1.5g摂取するのに必要な食材例
ワカメ(乾燥重量)…25g
納豆…4分の3パック ※1パック=50g
大麦ごはん…茶碗2杯 ※1杯=150g
サツマイモ…4分の1本(およそ90g) ※1本=360g など
水溶性食物繊維を取るコツ
お味噌汁を具だくさんにする
※水溶性食物繊維を多く含む食材を加えるようにします。
ヨーグルト+フルーツ
ヨーグルトにフルーツを合わせる。
食物繊維を摂ることで、ヨーグルト菌の効果もアップします。
一度にたくさんとるよりも、毎日の習慣としてとることがオススメです。
腸内細菌外来のある山下病院
腸内には数百種類、数十~数百兆個の常在細菌が住み付いています。
山下病院の腸内細菌外来では、最新の腸内フローラ検査「Mykinso Pro」を導入しています。
少量の採便をするだけの簡単な検査方法で、大腸内に住んでいる細菌について調べることができるそうです。
気になる方は、来院してみてはいかがでしょうか?
山下病院
住所:愛知県一宮市中町1丁目3番5号
まとめ
健康で長寿を目指すには、腸内環境を整え免疫力アップすること。
それには、食物繊維が欠かせないということがわかりました。
特に発酵性が高い食物繊維を多く摂取することにより、酢酸菌を多く生産します。
これが免疫力アップにつながり、健康長寿へとつながるのです。
高発酵性の食物繊維とは
水溶性大豆食物繊維:蒸し大豆、きなこ
β-グルカン:大麦(押し麦)オーツ麦(オートミール)、きのこ
レジスタントスターチ:おにぎりやポテトサラダなどの冷されたでんぷん
でしたね♪
病気は、若くてまだかかったことがない方には、なかなか理解できないところもあります。
しかし、いざ自分が病気になってしまったら、治療の時間、費用の問題、仕事ができない、家族のことといった不安が一気に押し寄せてきて、なかなかつらいものがあります。
健康で長生きの秘訣は腸内細菌の善玉菌を増やすことですから、食物繊維を少しでも多く摂取するよう、今すぐ食生活を見直すことが肝心かもしれません。
コメント
[…] これに関しては、2019年11月20日「ガッテン!」で>>長寿と大腸がんの罹患率が低い「京丹後」地域としても紹介されています。 […]